こんにちは、HowlyデザイナーのAkimiです。このニュースレターでは、犬に関するトピックやHowlyの活動などテーマを取り上げ、毎週月曜の朝8時にお届けいたします。

 

💬 「アテレコ」をたまにやめてみる

犬たちは言葉を話さないから、本当の気持ちはわかりません。だからこそ、暮らしの中に「こうでなければならない」という正解はないのだと、いつも思っています。
犬種によって、どんな犬が先祖にいて、どんな本能と役割を持ってきたかも違えば、その特徴を上回るほどの大きな個体差もあります。
「外飼いはいけない」「服を着せなければいけない」「ハーネスでなければいけない」「お留守番をさせてはいけない」……。

巷にあふれる「これはいけない」「これをしなきゃ」という言葉に、何をもとに方針を決めたらいいのか悩むことも多いかもしれません。けれど、その縛り自体が、もはや目の前の愛犬にとっては意味をなさないことだってあるのではないでしょうか。

では、正解のない世界のなかで、言葉を持たない彼らの本当の気持ちに、私たちはどうやって近づけばいいのか。

その一つの試みとして、私はあえて「犬にアテレコする癖」をたまにやめてみることを意識しています。しっぽを振っているときに「嬉しい〜」、近づいてきたときに「遊んで〜」と、人間の言葉で愛犬の気持ちを代弁してしまうこと。それはとても自然なことですが、人間の言葉のフィルターを通してしまうことで、彼らが体全体で発している本当の「反応」を見落としていないかを確認する作業です。

人間の言葉での表現をやめて、犬の反応を直に感じ取ってみる。実際にそうやってじっと観察してみると、今まで見落としていた微細な耳の動きや視線の配り方に、ハッと気づかされることがあります。

少し格好をつけたことを言ってみましたが、私自身、愛犬となんでもない時間を過ごしているときは、ただただ可愛い姿に「楽しいの〜?」なんてアテレコしたり、会話したり、何にも気にせず戯れています。その時間がたまらなく愛おしいので、これはあくまで、彼らをより深く知るための「たまに」の実験のようなお話です。

 

🔍 観察のヒント:しっぽの「右」と「左」にある非対称な感情

言葉のフィルターを外して彼らを観察するための、面白い科学的な事実をひとつ。
私たちはつい「しっぽを振る=嬉しい」と大雑把に捉えてしまいがちですが、実は振る「方向の偏り」によって、彼らの脳内での感情処理が異なる、という興味深い研究結果があります。

2007年にイタリアの研究チームが発表した行動学の論文によると、大好きな飼い主や親しい対象を見つけたとき、犬の脳は「左脳(ポジティブ・接近の感情)」が活性化し、神経の交差によってしっぽが【右側】に偏って振られるそうです。

逆に、見知らぬ強い犬に出会ったときなど、警戒や不安を抱いているときは「右脳(ネガティブ・回避の感情)」が活性化し、しっぽは【左側】に偏って振られます。

さらに驚くべきことに、犬同士もお互いのしっぽがどちら側に偏って振られているかを瞬時に見極め、相手の感情を読み合っているのだといいます。実は、今回のニュースレターを書くにあたってリサーチするなかで知ったことなので、私自身もすごくびっくりしています。正直なところ、まだ半分以上は疑っているのが本音です。

今週は愛犬たちのしっぽの様子を、いつも以上にじっくりと観察してみようと思います。皆さまもぜひ、愛犬が何を見ているときに、どちら側へしっぽを寄せているか、観察してみてください。

今週も、愛犬との穏やかな日々をお過ごしください。

── Reference : "Asymmetric tail-wagging responses by dogs to different emotive stimuli" (2007)